親知らずについて
親知らずとは
中切歯(最前方の前歯)から数えて8番目にあり、大臼歯の中で最も後ろに位置する歯のことです。
正式名称は第三大臼歯、智歯とも呼ばれます。
概ね10代後半から20代前半で生えてくる。親に知られることなく生えてくる歯であることがその名前の由来だと言われています。
生えてくるときの痛み
親知らずが生える際に、手前の歯に力がかかったり、歯ぐきから出てくる圧力によって、痛みが出ることがあります。
とくに親知らずが斜めや横向きに生えている場合、手前の歯を押しやすく、痛みが出やすい傾向があります。
親知らずの痛みの原因
痛みの原因
歯肉に部分的に被ったままになりやすく、そのため不潔になりやすく、歯肉の炎症を起こすと痛みや腫れが起こります。
親知らずによる症状
- 腫れ
- 痛み
- 頭痛・肩こり
- 膿が出る
- 口臭がある
- 手前の歯の虫歯・歯周病
抜歯後の注意点
(腫れ、痛み止め、その他)
- 抜歯後は血がにじむことがあります。
- 抜歯した場所を指や舌で触ると痛みが続いたり、感染の原因となることがあります。
- 抜歯した場所と周りは歯ブラシを当てないでください。傷が開いてしまったり、痛みが続くことがあります。
- 当日はお酒、長風呂、激しい運動は控えてください。炎症や出血の原因になります。
- タバコは傷の治りに関係するため、できるだけお控えください。
親知らずと歯並びの関係
1まっすぐ生えるケース
まっすぐに生えてくる場合、痛みや炎症など何もないことがあります。咬み合わせに問題があったり、虫歯になってしまっている場合、頻繁に痛みや腫れが起こる場合などは、抜歯を勧めることがあります。
抜歯の難易度 | 比較的抜歯しやすいです。歯根の先が曲がっていたり、骨を抱え込んでいる場合難易度が変わります。 |
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抜歯にかかる時間 | 約30分 |
2斜めに生えるケース
斜めに生えてきて、歯の一部が歯ぐきから見えている場合、歯ぐきに埋まっている部分は歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病になるリスクが高い親知らずです。親知らずだけではなく手前の歯のぶつかっている所に虫歯や歯周病を作ってしまうこともあります。トラブルが起こる前に抜歯を勧めることがあります。
抜歯の難易度 | まっすぐ生えている場合より難易度が上がります。歯根の長さや曲がりの程度により難易度が変わります。 |
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抜歯にかかる時間 | 30~60分 |
3水平埋伏のケース
横を向いて歯ぐきの中で埋まっている場合、隣の歯との間にスペースができ、プラークが溜まり歯肉が腫れたり痛みが出ることがあります。また、生える際の力が手前の歯の根を押して、手前の歯の歯根を吸収させてしまったり、歯が動いてしまうことがあります。位置によりトラブルが起こる前に抜歯を勧めることがあります。
抜歯の難易度 | 抜歯の難易度は最も高くなります。埋まっている深さや位置によっても大きく異なります。 |
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抜歯にかかる時間 | 60分 |
矯正の際の親知らず抜歯
親知らずが斜めもしくは横向きに生えている場合、生える力で前の歯を押していると矯正中や治療後に歯並びが悪化する原因となることがあります。このような時は事前に抜歯を行うことがあります。
前歯のスペース不足を改善するために、奥歯を後方へ下げる治療を行うことがあります。その際に親知らずがあると下げるスペース確保をとれないため抜歯を行うことがあります。
特に影響がなくても、後戻りやう蝕予防のために抜歯対象になることがあります。
抜歯をご検討中の方へ
抜歯をおすすめするケース
- むし歯になってしまった場合
- 歯周病になってしまう場合
- 歯並びを悪くする場合
- 咬み合わせへの影響がある場合
必ずしも抜歯しなくて良いケース
まっすぐ生えていて、しっかりブラッシングやメインテナンスできる場合などは、抜歯をする必要がないケースもございます。
親知らずを抜歯する際の
医院の選び方
- 主治医のインフォームドコンセントがあること。
- 院内感染予防が徹底されていて清潔であること。
- 抜歯前、抜歯時、抜歯後に起こりうるリスクについて、事前に説明をしていること。
- 予約制できちんと対応してくれる医院であること。
親知らずを抜歯する際の
流れ
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麻酔
麻酔時の痛みを和らげるために、歯ぐき表面の麻酔を行います。また、必要に応じて伝達麻酔(顎の骨全体の麻酔)を施した上で、浸潤麻酔(歯の周囲の麻酔)を行います。
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切開・分割
歯ぐきの中に歯が埋まっている場合は、歯ぐきを開いて歯を見える状態にします。
また、歯が斜めもしくは横向きの場合は歯の頭と根を分断します。
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抜歯
抜歯を行います。傷が大きいもしくは切開している場合、糸で縫って治癒を促します。
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止血
ガーゼを咬んで圧迫止血します。
親知らず抜歯で
よくあるご質問
Q. どんな時、親知らずが痛くなるのですか?
A. 抜歯する時に痛みはほぼありません。
抜歯治療後、麻酔が解けると痛みを感じ始めます。痛みの感じ方は親知らず抜歯の状態や個人によって異なります。ほとんどのケースで、抜歯後2、3日である程度痛みがおさまってきます。
Q. 親知らずはなぜきちんと生えないのでしょうか?
A. 生えてくるスペースがないため、真っ直ぐに生えないことがあります。
歯に対して顎が小さい、顎に対して歯が大きいなどの場合は、横向きや斜めに生えてしますケースがあります。
Q. 親知らずがまた生えることがありますか?
A. 親知らずは永久歯のため、再度生えてくることはありません。
抜歯後お口の中に異物が出てくる場合がありますが、薄くなった骨の一部などです。
Q. 抜かないで治す方法はありますか?
A. きれいにまっすぐ生えていて、問題がない親知らずであれば抜歯の必要はありません。
また、完全に埋伏しておりお口の中と交通していない場合は抜歯の必要はありません。親知らずが原因で腫れや痛み、隣の歯への悪影響がある場合は抜歯した方がよいと考えます。非常に稀ではありますが、むし歯や歯周病の治療を行い保存することがあります。
Q. 親知らずの抜歯前に注意することはありますか?
A. 親知らずを抜歯する際に腫れや痛みがあると麻酔が効きづらくなります。
抜歯を行う前にクリーニングを行い、抗生物質、痛み止め薬を処方し、落ち着いてから抜歯を行います。
Q. 親知らずの抜歯は大体どのくらいの時間で可能ですか?
A. 15分~30分の範囲で抜歯できることがほとんどです。
それに加えて麻酔、止血の時間が15分~30分程かかります。
Q. 親知らずの抜歯はいくらかかりますか?
A. 親知らずの状態等によって費用は異なります。
まっすぐ生えている親知らずの場合:約1500円
根が曲がっている親知らずの場合:約2500円
横に生えたもしくは完全に埋まっている親知らずの場合:約3500円
CT撮影:約3500円
Q. 抜けなくて途中で中止されることはありますか?
A. ほとんどありませんが、抜歯中に体調が変化した場合、麻酔が効かない場合などは途中で中断することがあります。
患者さんの安全第一のため、ご了承頂ければと思います。
Q. 親知らずが虫歯になると抜歯は難しいですか?
A. 親知らずが虫歯になると抜歯の難易度が上がります。
虫歯だと歯に器具をひっかけた際、歯が崩れやすく、根だけになると器具をひっかけにくくなります。虫歯になる前、虫歯が広がる前に抜歯することをお勧めいたします。
Q. 親知らずを抜くと小顔になりますか?
A. 親知らずを抜いても顔のサイズが小さくなることはありません。
しかし、抜歯によって口の中は広くなり、見た目には整った印象を受けるかもしれません。